公務員ってなんだ?最年少市長が見た地方行政の真実(熊谷俊人著、光文社新書)
属性情報 [著者]市町村長、民間経験、議員経験者
[仕事]市町村、政令市
[おススメ]地方公務員志望
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地方自治体の現実と、その先の「あるべき姿」について、論理的かつ多角的な視点から知ることができる素晴らしい本です。
市長さんが書かれた本なので、現場の「一兵卒」の仕事についてはそれほど詳しく書いてありません。しかし、地方自治体とは何なのか、どういう立場で何を行う組織なのか、そして、この先どうあるべきなのかという点について、非常に分かりやすく書いてくださっています。
地方公務員に興味のある方は、真っ先に読んで損はありません。
民間経験者の市長が書かれた本ということで、「民間と公務員、どっちにしようかな?」という方にもおススメです。
著者は、千葉市長の熊谷俊人さん。
この方は、改革派市長(という表現は月並みですが)のトップランナーの一人で、すでに多くの実績を残されています。この本に書いてあることも、本当に説得力があります。
また、民間経験者ならではの表現も、複雑怪奇に見えてしまいがちな公務員の世界を的確に表しておられて、とても分かりやすいです。
例えば、こんな感じです。
「市長は社長、議員は社外取締役」
「市民はユーザーでもあり、株主でもある」
私は、何度も「うんうん」とうなずきながら読ませていただきました。
この本の欠点を敢えて書くならば、うっかり現役職員が読むと「こんな市長さんの下で働いてみたい…」と思わされてしまって、軽く落ち込むことぐらいかもしれません(笑)。
ただ実際、地方自治体も本当に色々です。職員は市長を選べません。
組織も社員も、トップの選定に直接一切関われないというのは、行政のひとつの特徴です。
素晴らしい方が市長になることもあれば、ちょっとアレな方が市長になることもあります。
これは正直、「運」の世界です。
この本を読んで公務員を目指される方は、晴れて公務員になったときに不幸にもちょっとアレな市長さんに当たってしまったら、「この本で読んだのと違う…」というギャップに苦しむことがあるかもしれません。
そんな時は、この本に込められた熊谷さんの行政への愛と情熱を思い出しましょう。これさえあれば、どんな自治体でも戦っていけるはずです。
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